ユーザが“やりたいこと”から“できること”を引き算した残りの 部分を支援する-これが、デジタルヒューマン工学研究センターが掲げる「スマートアシスト技術」の構想です。 人間機能をモデル化し知識としてシステムに組み込むことで、システム自身がユーザである人間のことを知り、その人の身体機能や状況に応じた適切な支援をできるようになると考えています。 この構想の実現に向けて、センターでは、ロボットが生活環境下の人間の身体機能や移動をセンシングする技術、生活環境のマップを作り環境をモデル化する技術、人間の位置・姿勢、環境情報に基づいて人間行動をタグ付けする技術を研究しています。 さらに、この要素技術を統合して、自律的に環境を移動しサービスするシステムを開発しています。

今年のデジタルヒューマン・シンポジウムでは、この「スマートアシスト技術」をメインテーマに位置付け、センターの最新成果をご紹介するとともに、人間生活を支援するロボット技術の最新動向としてカーネギーメロン大学・金出武雄先生の基調講演、クラウド時代のロボット技術としてGoogle・James Kuffner博士による招待講演、介護・医療・生活支援向けロボット技術としてトヨタ自動車・高木宗谷氏の招待講演を予定しております。

シンポジウム終了後には、デジタルヒューマン工学研究センターのラボにてオープンハウスを行います。 我々の研究の全てを知って頂く機会となること、そして我々の技術やその応用展開について議論する機会となることを期待しています。

開催概要

テーマ: 人を知り人を助けるデジタルヒューマン
日時: 2013年3月8日(金)
場所: 講演会: 日本科学未来館 みらいCANホール
オープンハウス: 産業技術総合研究所 臨海副都心センター 本館3F
参加費: 無料
主催: 独立行政法人 産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センター(DHRC)

プログラム

09:30 開場・受付開始
10:00~10:15 開会挨拶 持丸 正明 (デジタルヒューマン工学研究センター)
10:15~11:05 招待講演1 「人を助けるロボット技術」
金出 武雄 (カーネギーメロン大学)
11:05~11:55 招待講演2 「Cloud Robotics and the Future of Distributed Intelligence」
James Kuffner (Google Research)
11:55~13:10 昼食
13:10~14:00 招待講演3 「介護・医療・生活支援向けパートナーロボットの開発」
高木 宗谷 (トヨタ自動車)
14:00~14:50 研究発表1 「スマートアシストのための人・環境の理解と利用機能」
加賀美 聡 (デジタルヒューマン工学研究センター)
14:50~15:00 休憩
15:00~15:15 研究発表2 「人型ロボットの自律移動実現」
西脇 光一 (デジタルヒューマン工学研究センター)
15:15~15:30 研究発表3 「人体計測のためのロボットビジョン技術」
山崎 俊太郎 (デジタルヒューマン工学研究センター)
15:30~15:45 研究発表4 「ロボット聴覚の音環境理解に向けて」
佐々木 洋子 (デジタルヒューマン工学研究センター)
15:45~16:00 閉会挨拶 加賀美 聡 (デジタルヒューマン工学研究センター)
16:00~18:00 オープンハウス: DHRC見学会

招待講演

人を助けるロボット技術

金出 武雄(カーネギーメロン大学 教授)

1974年 京都大学 電子工学科 博士課程修了 (工学博士) 1976年 同 助教授 1980年 カーネギーメロン大学 計算機科学科・ロボット研究所高等研究員 1985年 同教授 1992-2001年 カーネギーメロン大学 ロボティクス研究所 所長 1993年 カーネギーメロン大学 U.A. and Helen Whitaker 記念教授 1998年 カーネギーメロン大学 U.A. and Helen Whitaker 記念全学教授 2001年 産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究ラボ ラボ長 (非常勤) 2003年 産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センター センター長 (非常勤) 2006年 カーネギーメロン大学 生活の質工学研究センター設立 センター長

これまでロボット技術は多くの想定された応用が宇宙、軍事、生産、極限作業といったものであったから、当然に知能的自律機械として、なるべく人の関与を排することを目的に開発されてきた。 しかし、日常生活において対人やアシストを目的とするロボット技術はむしろ、人とのかかわりを増すことが目的として重要であると言える。 すると、移動・操作能力を主とする従来の狭い意味でのロボット技術から、日常生活タスクの人工知能、人の理解やインターフェース、さらには人からの受容性といったことも含めた広い意味でのロボット技術を総合的に捉える必要がある。 このような視点から、カーネギーメロン大学での生活の質工学センターにおける取り組みや最近のProceedings of IEEEの生活の質工学特集号からとった話題を議論したいとおもう。

Cloud Robotics and the Future of Distributed Intelligence

James Kuffner (Research Scientist, Google Research)

1999: Received a Ph.D. from the Stanford University, Dept. of Computer Science Robotics Laboratory 1999-2001: JSPS Postdoctoral Research Fellow at the University of Tokyo 2002: Associate Professor at Carnegie Mellon University 2002-2010: Invited Senior Researcher at Digital Human Research Center (AIST) 2009: Engineering Manager at Google

High-performance cloud computing has dramatically transformed how individuals and businesses manage data. "Cloud Robotics" is poised to revolutionize artificial intelligence and has the potential to speed the development of autonomous robots for home, hospital, and office environments. This talk will discuss the long-term prospects for the future development of robot intelligence as it relates to search-based AI and the rise of cloud computing.

介護・医療・生活支援向けパートナーロボットの開発

高木 宗谷(トヨタ自動車 理事)

1975年 早稲田大学理工学研究科修士課程修了 1975年 トヨタ自動車株式会社入社 1991-1994年 同社海外事業体 TMME (ベルギー)勤務 2001年 生産開発部 部長 2005年 パートナーロボット開発部 部長 2008年 パートナーロボット部 理事

トヨタはグローバルビジョンとして、「笑顔のために、期待を超えて」というスローガンを持っている。 いいクルマづくりを通して、いい町、いい社会づくりに貢献することを目指しているのである。 その中で、パートナーロボットの開発は、未来のモビリティ社会をリードする新しいライフスタイルの提案として考えている。 トヨタパートナーロボットのコンセプトは、人の役に立つ、人のパートナーとしてのロボットを目指しており、そのためには、「かしこい」能力と「やさしい」能力が必要と考えている。 そして将来の未来社会の中で、「すべての人に移動の自由を提供する」ロボットとして活躍できればと考えている。 今回、今までのパートナーロボッとの開発経緯と最近公表した、介護・医療・生活支援向けパートナーロボットを中心にご紹介する。